※アニメ壱沿い、部下を人質に取られるシーンから。 ※ユリちゃんは伊達軍の忍をやっています。 なので、政宗の一部の部下には顔も名前も知られています。 ※作者はBASARA未プレイです。アニメと一部コミックしか知りません。 いろいろ違うところがあってもそっと見逃してやってください…(土下座) 「…………?」 政宗の眠る鎧の間の真上。 屋根の上から小十郎と幸村を眺めていた百合は、ふと気配を察して顔を上げた。 ぼんやりとした影が屋根伝いにまっすぐこちらへと向かってくる。 「猿飛佐助、と…」 橙色の頭は真田幸村の忍、猿飛佐助のもの。 そして彼が抱えているものは。 「文七郎?」 政宗の配下の一人だった。 乱世の梟雄と名高い松永久秀が政宗の部下三人を人質に取り、龍の刀と楯無鎧を欲している、と。 つまりはこういうことらしい。 まためんどうくさいことを…と、百合はため息をつきたくなった。 政宗が落馬した際下敷きになったことで多少なりとも身体に負荷がかかったろうから今夜はお前も休めと小十郎に諭されこうして大人しく政宗の警護にあたっていたのだが、やはり自分も周辺の警戒に行くべきだったかもしれない。 さてどうするかと屋根の上から成り行きを見守っていると、目を覚ました政宗を小十郎が再び気絶させ、刀を預かり飛び出して行ってしまった。 「しょうがない、追いますか」 でもまずは政宗を茵に戻してから。 よっこらせっと立ち上がる。 自分と同じく屋根に仁王立ちしている武田信玄のことは完全に無視し、百合は庭に降り立った。 「百合様!?」 急に現れた百合を見て文七郎が驚きの声を上げた。 幸村も同様に驚きの表情だが、百合がいることに気づいていた佐助は軽く目を細めただけだ。 「百合様、片倉様が…」 「全部聞いてた。あとは私に任せて、あなたはとりあえずその火傷の手当をして休むこと。 今ここであったことは片倉殿が戻るまで他言厳禁。わかった?」 「えっでも、百合様は…?」 「政宗様の傷の具合を看たら片倉殿を追う。ほらさっさと行きなさい」 いつまでもぐずぐずしている文七郎をさっさと追い出すと、百合は政宗の身体をひっくり返した。 完全に意識を失っているのを確認して、そのまま抱え上げようとする。 「ちょーっと待った!」 「なに」 立ち上がろうとした瞬間、いきなり腕を捕まれて百合は尻餅をついた。 自分の腕を掴んでいる橙色の頭をしたど派手な忍をにらみつける。 佐助はいやいやなにじゃないからと政宗を指さした。 「まさか一人で運ぼうなんてつもりじゃないよね? 君の体格じゃいくらなんでもそりゃ無理だと思うけど」 「できなくはないけど。ちょっと大変なだけで」 「いやしかし其方は先ほど落馬した政宗殿の下敷きになった者であろう? あまり無理ばかりするものでは…」 「なら貴方が運んでくださいますか、真田幸村様」 百合の黒い瞳がじっと幸村を見上げる。 くつろいでいたため今の百合は口元を布で覆っておらず、宵闇の中でもその白い顔をはっきりと見ることができる。 くノ一とはいえ、相手は幸村と同じ年頃の女子。 幸村の顔に血が上り、破裂しそうになるその直前、絶妙なタイミングで佐助が幸村を引っ張って百合から二、三歩遠ざけた。 「佐助!? 何をするのだ!」 「はいはいいーから旦那はお館様に報告してきなって。さっきから屋根の上で待ってるから」 「お、お館様!?」 「独眼竜の旦那は俺様が運ぶけど、いいよね?」 屋根の上から飛び降りた信玄に駆け寄る幸村を尻目に佐助は百合の黒目を覗き込む。 政宗を膝の上にのせたまま、百合は軽く肩をすくめてみせた。 「どう? 傷開いてない?」 「とりあえずは大丈夫」 政宗を茵に戻した後、ざっと政宗の身体を調べた百合はふうと息をついた。 いくら小十郎が傷に障らないよう加減をしていたとはいえ、重傷の身であれだけの立ち回りをしたのである。 せっかく塞いだばかりの銃創が開いてしまう可能性もあったのだが、なんとか無事だったようだ。 新たに増えた傷もたいしたことはないし、これなら小十郎の後を追っても問題なさそうだ。 「で、やっぱり行くの?」 鎧の間を出て庭に降りた百合に佐助が問いかける。 百合は軽く振り返ると、当然でしょ、と返した。 「片倉殿一人だけで行かせるわけにはいかないし」 自分は政宗の忍だ。 なら、政宗の意志に従うのみ。 外していた布で再び口元を覆うと、百合は駆けだした。 もし伊達軍の忍だったら 弐
さりげなく膝枕してもらってますよ筆頭。役得ですね! 意識ないけど! 筆頭も小十郎もぜんっぜんしゃべってませんが、もう少ししたらちゃんと会話できるはず。早く書きたいよー。 ちなみに佐助とユリちゃんは互いに互いを認知はしてますがまだ名乗り合ったことはありません。今回の会話が初じゃないかな。 幸村も政宗の忍だってことくらいしか知らないので、今回は真正面から若干上目遣い気味に見つめられて(ユリ的には普通に見上げただけ)破廉恥でござる一歩手前でした(笑) 2012.7.27
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