※取引期間中のどこかだと思われます。 ※作者はDS版とPSP版のカーティスルートくらいしかプレイしてません。 ※偽物注意報発令(特にカーティス) ※こんなの○○じゃない!と思ったら即ページを閉じて記憶を消去することをオススメします。特にカーティス。苦情の類は勘弁してください。作者が一番こんなん違ぇええええええええ!と思ってますから…orz アイリーンがカーティスのかわりにユリを連れて洞窟に入り、しばらく経った頃。 そのときアイリーンはモンスターを倒して手に入れたレアアイテムに浮かれていて、周囲への警戒が疎かになっていた。 同行者であるユリは少し離れたところで別のモンスターを倒しており、少しカーティスと似ているその無駄のないナイフ捌きは見事の一言に尽きる。 他に取りこぼしたアイテムがないかとアイリーンが周囲を見回した瞬間、それはいきなり現れた。 「プリンセス、危ない!」 ユリの声が狭い洞窟内に響く。 はっと振り向いたアイリーンの目の前、暗闇の中からぬっと現れた巨大なモンスターの姿。 驚愕に反応が遅れ、モンスターの強力な攻撃がアイリーンを襲う―― 次の瞬間。 「切り裂き」 一瞬、何が起こったのかわからなかった。 ビュッと通り抜けた風がアイリーンの髪を乱し、一拍の間を置いてモンスターの咆吼が響く。 気がついたときにはモンスターはすっかり動かなくなっており、どろりと黒い液体が地面へと流れ出ていた。 「プリンセス、無事?」 「え、ええ。って、今のなに!?」 我に返ったアイリーンは勢いよくユリの両肩を掴んだ。 既に事切れているモンスターには何か鋭利なもので切り裂かれたような裂傷がいくつも走っている。 今までユリが使っていたナイフや短刀ではこうはならないだろう。 「もしかして、魔法が使えるの?」 「……一応」 ユリは微妙な顔をして頷いた。 アイリーンはあまり魔法について詳しい知識を持っているわけではない。 しかし、洞窟に出現するようなレベルのモンスターを一撃で倒すことの出来るほどの魔法をあの状況下で瞬時に発動するのは容易なことではないということくらいは分かるつもりだ。 「ユリってもしかして高位の魔法使いなの?」 「いくつかの魔法は一応使えるけど、魔法使いではないよ」 ついでに言うとさっきのはこの大陸の――というかこの世界の魔法でもないんだけどね。とまではユリは言わなかった。別にそこまで詳しく言う必要は無いし。 魔法はいくつか使える。 それはあくまで戦闘や旅において便利だったり、どういうわけかユリはそれなりに魔力が高いらしいので使えるから使っているだけで、魔法使いというわけではないのだ。 ユリはモンスターが動かないことを確認すると、未だ興奮状態にあるアイリーンの手を引いてさっさと歩き始めた。 モンスターの死骸の傍に長く留まっていると、新しいモンスターが出現する確率が高くなるからだ。 「魔法は使える。けど、さっきみたいに緊急性が高かったり、魔法を使った方が早いときぐらいしか使わない。この国にいるときは特にね。魔法嫌いの誰かさんもいるし」 「カーティスは魔法が嫌いなんだっけ」 「そう。魔法使いと魔法が大嫌い。別に本人が使えないってわけでもないんだけどね」 先日ギルドに侵入者があったときに移動魔法を使ったら思いっきり拗ねられた。 便利なのは認めますけど嫌いなものは嫌いなんですというのがカーティスの主張だ。 だいぶ離れたところまできて、ユリはアイリーンの手を放した。 洞窟の中は相変わらず薄暗いが、二人とも夜目が利くため特に問題は無い。 「で、プリンセス。さっき油断したことに対する反省は?」 「うっ」 アイリーンは思いっきり目をそらした。 先ほどのあれは、ユリがいなければアイリーンは確実にやられていただろう。 「うかれて周囲への警戒を怠っていたせいだわ。ごめんなさい」 家庭教師との長年のやりとりの癖で、つい謝ってしまう。 ユリは落ち込んでいるアイリーンの頭をぽんぽんとなでると、次からは気をつけること、と言った。 なでられた頭を思わずおさえて、アイリーンはぽかんとユリを見つめる。 もう少し厳しく指導が入るかと思ったのだが、予想外に優しい。びっくりした。 「……あんまり怒らないのね」 「もっと怒って欲しいならそうするけど」 「いい、いい! 怒らないで、今ぐらいのでお願いします」 思わず敬語になって手を合わせるアイリーンに、ユリはくすりと小さく笑む。 「さ、行きましょうか。もう少しアイテム集めしていくんでしょう?」 「そうね。目指せ1000万G!」 足取りも軽やかに、しかし周囲への警戒は怠らないように気をつけながら洞窟の奥へと進んでいく。 その日の収穫は、取引期間が始まって一番の出来だったという。 プリンセスとお知り合いになろう編5
とりあえずお知り合いになろう編はこれでいったん終わりです〜。 なんだか無駄に長くなってしまった; これ以降の二人は仲の良い知り合いというか友達というか、そんな感じできゃっきゃしてると思います。 プリンセスの幼なじみ組がそれを見てあれは誰だ…!とかギリギリしてたらいい(笑) あ、使った魔法はアレです、幻水ネタ再び。大好きなんです、切り裂き。 2012.10.9
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