結局その後は合間に休憩を入れながらベル、ルッスーリアと手合わせをし、二人からは殺しの才能があると大絶賛されていた。
ジャンケンで負けて最後になったマーモンは幻術で幻想的な風景や普段なら目にしないような珍しいものを見せたり幻術にかかったときの破り方を教えたりしていて、の中では随分とポイントが高かったようだ。
少しでも手が空くとマーモンをぎゅっと抱きしめていて、の腕の中にいるマーモンは勝ち誇ったような顔をしていた。
「ザンザスも来られれば良かったのに。絶対かわいがると思うんだけどなぁ」
ルッスーリアが取り寄せた服が届いたからと言ってを連れて行ってしまったので、綱吉たちは鍛錬場を引き上げて談話室の方へと移っていた。
柔らかなソファに腰を落ち着けて、綱吉はかつて指輪を巡って争った光焔を操る男の顔を思い浮かべる。
きっとをとても気に入るだろうという確信があった。
次は絶対会わせてみよう。
「そういえばヒバリさん、ディーノさんにはもう紹介したんですか?」
「まだだよ。そのうち行こうとは思ってるけどね」
「あちらにも年の近い子どもがいるし、きっと喜びますよ」
「アルフレッドっていまいくつだっけ」
「十五歳、ですね。学校を抜け出したりとかしてるみたいですよ」
兄弟子の一人息子を脳裏に思い描いて、綱吉は苦笑した。
父親ゆずりの見事な金髪を持つかの少年はかつての自分と同じようにマフィアのボスになんかなりたくないと逃げ回っているらしい。
父親はというと、オレも十代はそうだったなぁなどと呑気に笑って無理に継がせようとはしていないらしいが、果たしてどうなることやら。
「きゃーっ! ちゃんかーわーいーいー!」
とそのとき、ルッスーリアとのいる隣の部屋から嬉しさまじりの悲鳴が聞こえてきた。
やがて勢いよく扉が開き、喜色全開のルッスーリアがの細い身体をずずいっと前に出してくる。
黒い生地のドレスにたっぷりとついたひらひらのレース、ヘッドドレスとかかとの高い装飾ブーツ。
いわゆるゴスロリファッションを身に纏ったは、もともとのまっすぐな黒髪と整った顔立ちもあいまって、それこそまさに人形のようであった。
「……似合うね」
思わず感嘆のため息をついた父親にそうでょ!?と素晴らしい笑顔を向けて、ルッスーリアがうっとりとした視線をに送る。
部屋中の視線を浴びたはというと、彼女にしては珍しく若干戸惑うような顔をしていた。
着せ替え人形
2008.03.02
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