肌がまだ熱を帯びている気がする。絶妙な疲労感が全身を支配して、俺はベッドに深く沈んでいた。
なんとなく暑いなと思いながらベットサイドペットボトルに手を伸ばしたところで、俺の携帯が鳴った。バイブががたがたと音をたててうるさいので、さっさと取り上げてディスプレイにうつされた文字を見る。予想通りの相手からの着信だ。最中にかかってこなくて良かったと思った。
『Pronto. ?』
「Ciao. なんだ?」
『あら、もしかしてお邪魔しちゃった? 声かすれてるわよ』
「お前、そういうこと、ストレートに言うなよ…」
電話をかけてきたのは俺の親友兼相棒のだった。当然ながらこいつは俺とディーノの関係をよく知っていて、キスしてるところを見られる程度のことなら数限りなくあった。さすがに最中を覗かれたことはまだないが、最中に電話がかかってきて、ディーノのやつがわざと通話ボタンを押しやがったことならある。ちなみにそのとき、は全く慌てることもなくむしろ面白がっている様子でごゆっくりなんて言いやがった。そういう性格の奴なのだ。
「で、用件は? また仕事か?」
『そう仕事。日本にいるヴァロッサファミリーの動向調査をお願い。私はそっち行けないから』
「Roger.」
通話終了と表示された携帯を放り投げる。耳元でくつくつと笑う声が聞こえて、ごつんと頭をぶつけた。俺を後ろから抱きしめたまま、頭突きを食らったディーノが額を押さえてなおも笑う。
「さすが。お前らっていつもそんな感じだよな」
「まあな。あいつには逆うだけ無駄だし。疲れるだけだ」
「まぁ、確かにな。並の男じゃ太刀打ちできねぇくらい強いし。こう言っちゃ失礼だが、よく彼氏できたよな」
「ん? の彼氏知ってんの?」
「日本人ってことだけは。前に嬉しそうに言ってたぜ。殺しても死なないくらい強いって」
らしい例え方だよな、とのんきに言うディーノに俺は思わず頭を抱えた。いやそれ例えでもなんでもねぇから。あの二人、マジで殺し合いしてるし。つーかそれ俺の兄貴。
? どうした?」
「いや、なんでもねぇ‥‥」
顔を覗き込んでくるディーノにひとつキスをして、俺はなげやりに首を振った。


05:お邪魔しちゃった?

居たたまれなくなったので、裏部分は消去しました。
もう二度と書きません…(遠い目)

頑張ってイタリア語を使ってみましたが、ネットで少し調べて使ってみただけなので間違ってたらすみません。

Pronto. → もしもし?
Ci sentiamo. → またな。(電話の場合)
Ciao. → 会ったとき・別れるときの挨拶
Roger. → 了解

2007.12.10 (裏部分消去 09.02.19)