彼と彼女の意外な関係
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小烏丸のメンバーたちは、見た。 年下と思われる金髪の見目麗しい女性と一緒に歩いているスピットファイアの姿を。 「なぁアレってまさか‥‥」 「すっげえ美人!」 オトシゴロな中学生たちは色恋沙汰に敏感だ。 一瞬にしてテンションが上がった。 「後つけてみようぜ!」 だから、好奇心旺盛かつ恐いもの知らずな彼らからこの言葉が飛び出るのは当然のことで。 ただ一人あの女性が誰であるかを知っているアギトだけはくだらねぇと吐き捨て帰ろうとして、 「お前も来る!」 だがしかし小柄な身体をひょいと抱えられて拉致られた。 「何してるのー?」 ビルの隙間に隠れるようにしてコソコソと尾行中、かけられた声。 その声にいち早く反応し勢いよく振り向いたイッキの顔からハートマークが溢れた。 「シムカさん!」 「やっほうカラス君☆」 いつもの明るい笑顔であいさつして、ふと気付く知り合い二人のツーショット。 炎の王の後ろ姿と挙動不審真っ最中な目の前の中学生たちを見比べて、シムカはあぁ、と納得した。 「スピ君の後つけてるんだ?」 「そうなんスよ! だって見てくださいよあの美人な彼女!」 ビシッと指をさすイッキと頷く仲間たち。 そんな彼らをおもしろそうに眺めていたツバメは自分と同じく真実を知る小鮫と目が合うと、片目をつぶってウインクした。 曰く、面白いからバラしちゃダメよ! と、語尾にハート付きで。 小鮫はフンと鼻を鳴らして集団から一歩下がった。 それでもその表情にはわずかに笑みが浮かんでいて、どうやら彼も面白がっているようだ。 と。 そこでカズが気付いた。 「あれ? 何処行ったんだ?」 「誰がだい?」 「そりゃもちろんスピットファイアが‥‥ってうわぁ!?」 背後から聞こえた声。 振り返れば笑顔のスピットファイア。 ついさっきまで自分達が尾行していた人物の思わぬ登場に小烏丸は慌てた。それはもうものすごく。 シムカはけらけらと笑いながら言った。 「スピ君気付いてたんだー?」 「A.T.の音がたくさんついてきたら、さすがに気付くよ」 君達は目立つしね、と苦笑まじりに言われ、中学生たちは地味にへこんだ。 「で、何をしていたんだい?」 「え、いや、あの」 「言ってごらん」 「‥‥‥‥彼女さん美人だな、って‥‥」 にっこりと無敵の笑顔に押されてカズが答える。 スピットは一瞬驚いたように目を見開くと、腹をかかえて笑いだした。 付き合いの長いシムカでさえそうそうお目にかかれないくらいの大爆笑だ。 周囲がぽかんと口を開ける中、ひととおり笑いを収めたスピットは楽しそうに言った。 「だってさ、姉さん」 くくく、と肩を震わせながら言われた言葉。 そして向けられた視線の先には。 「そんなことだろうと思ったけど」 集団から一歩離れたアギトの横に立つ呆れ顔の女性が。 「「「お‥‥、お姉さん!?」」」 小烏丸の叫びが見事にはもり、ビルの間に木霊した。 ■Hunt the Hunt // 小烏丸 and シムカ and 炎の王 and スピ姉 スピさん家族捏造計画。 でも詳しい設定とか忘れた駄目作者。 あ、あれですよ、姉って言ってもグラチルじゃないです。義姉。 Crush Airのメンバーかも? ‥‥たぶん。 07.07.10
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