「 ![]() 「‥‥なんだ、お嬢ちゃんかい」 ミルフィオーレファミリー第3部隊の ![]() 「どうした、ボスのお守りはいいのか?」 「書類叩きつけて一発殴ってきた」 「‥‥そりゃ、また」 どうやらボスは今日も麗しきお花さんの機嫌を損ねてくれたらしい。よくよく考えたらが気配を消して自分を呼び止めた時点で彼女のご機嫌が決して良いものではないことは明白なのだが、経験上 ![]() ![]() 「ストレスがたまってるの。最近あんまり動いてないから、久々に動きたくって。相手してくれる?」 の方が頭ふたつぶん以上低いので必然的に上目遣いになって、こてんと首を傾ける。 ――ミルフィオーレの中に、この花に抗える者は誰一人としていない。 「‥‥わかった」 今日はもうまともに酒は飲めねぇな、と ![]() 「‥‥うわっ」 ミルフィオーレファミリーのナンバーツー、入江正一は鍛錬場の扉を開けてすぐに目に飛び込んできた惨状に盛大に顔を引きつらせた。が白蘭にキレて執務室からいなくなったという話を聞いた彼はこうならないようにと思って慌ててを探しに走ったのだが、どうやら一歩遅かったらしい。ミルフィオーレファミリー第3アフェランドラ隊の隊員全員がボロボロになって床にのびていた。もちろん隊長である ![]() 「さんはどちらに?」 「お嬢ちゃんなら気が済んだのか部屋に戻っていったぜ」 いてて、と顔をしかめながら起き上がった ![]() ![]() ![]() ![]() 「今回の原因はなんなんだ?」 煙草を取り出してくわえた ![]() 「プリン?」 「ええ。彼女が楽しみにとっておいたバケツプリンをボスが食べてしまったんです」 子どもの喧嘩かよ、と突っ込みたくなった。確かに二人とも甘党だ。がバケツプリンをまるまる一杯平らげたという話は風の噂で何回か聞いたことがあるが、まさか事実だったとは。 「部屋に引き上げたのならもう大丈夫ですね。お疲れ様でした。第3部隊はしばらく休暇ということにしておきますので」 「ああ、そうしてくれ」 医療班も呼んでおきますねと言って、入江は鍛錬場を後にした。全く、なんて手間のかかる二人なんだ。確かにがきてからボスに仕事をやらせるという入江の負担は減ったが、そのかわり彼女を手に入れるためにファミリー総出でしかけた総力戦や彼女がファミリーに入ってからのこういった影響などを考えると、結局プラマイゼロのような気がしてならない。 はぁ、と深く、ため息をついた。 「はい、これ、この間のお礼。ありがとね。またよろしく」 後日回復した第3部隊のもとには、隊員ひとりにつきひとつ、お手製のぬいぐるみが届けられた。 もちろん ![]() こうして第3部隊隊員の私室には着々とぬいぐるみが増えていくのだった。 第3部隊の悲劇
2008.02.17
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