鰐狩り人





「待ちやがれっ!」
「誰が待つかよばーか!」


月が明るい夜。
廃ビルの群れに響きわたる声。
駆け抜ける影がふたつ。

一人は20歳前後の青年。
アッシュグレーの髪、黒のゴーグル、蛍光グリーンのバンダナ。
バンダナと同じ色でロゴが入った黒のパーカー上下に、これまた同色の派手なA.T.。

飛んでくる弾丸を軽やかに避けながら飛ぶ青年を追うのは、
ライダーなら言わずと知れた“新宿の鰐”、鰐島海人。
愛銃を青年に向かって放ちながら、彼にしては珍しく躍起になって怒鳴っている。


「おっせーよ海人! そんなんでよく特殊飛行靴暴走対策室室長なんてやってられんなぁ?」


わざとらしく無駄に長ったらしい正式名称を言ってのけた相手に、海人のこめかみに青筋が立つ。
もともと悪い目つきをさらに鋭くさせると、青年が乗っているパイプめがけて手榴弾を投げつけた。


「おわっと! あぶね・・・・・・」


ボフン、と音を立てて破裂したそれを起用に避けて、青年は背が低いビルの屋上に飛び上がった。
地上で悔しそうに自分を睨みつけている海人に向かって、挑発的に中指を突き立てる。


「こんなんじゃこの俺は捕まえらんねーよ!」


ニヤリ。
ゴーグルを外して舌を出した青年の顔には、明らかにからかいに満ちた笑み。


「テメェ! いつか必ずブチ込んでやるからな!」
「やれるもんならいつでもドーゾ? 最も・・・・・・、」


さらに高いビルに駆け上がって、振り向く。


「お前には一生、無理だろうけどな!」


また遊ぼうぜ?
けらけらと笑うと、青年はゴーグルをはめ直して飛び上がった。
今度は振り向かずに、夜の街を滑るように駆けていく。

小さくなっていく姿を睨みつけながら、海人は盛大に舌打ちをして壁を蹴った。
がらり、蹴られた部分が崩壊する。

ぜってぇブチ込んでやるからな・・・!

口の中で盛大に毒を吐いて、海人は踵を返して立ち去った。




残されたのは崩れた壁と、ステッカーが一枚。

チーム名は警察と韻をかけた「鰐殺」、その名の通り“鰐殺し”。
エンブレムデザインは鎖で首を吊られた鰐と手錠。





こうして特殊飛行靴暴走対策室をからかうことのみを目的とした青年と鰐島海人との抗争は続く。

もちろん彼が捕まる日なんてのは、無い。

今までも、これからも、

ずっと。







突発のエアギア夢です。ワニサツvsケイサツ。
うわコイツセンスねぇとか言わないでください(泣)
友人には、『「いつか必ずブチ込んでやる」って、ナニを?』と言われました。
さあ?(笑顔)

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